[第55号:2021-12-5]

 
道場生のみなさんへ
 
コロナ感染拡大が収束に向かう様子ですが
まだまだ安心はできないと思います。
また、これから冬の季節になります。
今後もコロナ感染のみならず体調管理に気をつけましょう。
なお、空手修練は体調管理の一環です。
 
 

 

本号の内容

 ◎デジタル空手武道教本サイトの閲覧にはPWの入力が必要です(一部PWが不要のページもあります)。 IBMA極真会館増田道場の会員には、閲覧用のPWを伝えてあります。もし、忘れた場合は事務局までメールにてお問い合わせください。 ◎デジタル空手武道通信の映像はインターネツトへの接続環境のあるところで閲覧することをお勧めします。

  • 巻頭コラム:相手との対峙の仕方を知る
  • 紅白試合 2021年の試合結果報告と動画のアップのお知らせ
  • 段位認定証書授与式の報告
  • ワンポイント・レッスン〜肘受けについて
  • ワンポイント・レッスン〜約束組手稽古法について(有段者、指導員の人は必見のこと)
  • 編集後記 第55号
  • 12月中旬にデジタル空手武道教本のPWが変更になります。新しいPWはメールにてお知らせします。お気をつけください。
  • 増田章 身体で考える(アメーバブログ)の更新案内→アメーバブログ
  • デジタル空手武道通信・56号・新年特別号の発刊は1月の初旬の予定です。

イベント案内

 

巻頭コラム:相手との対峙の仕方を知る

       

 

 

 

 

~拓心武術の戦闘理論~
 
【「一手決め」「二手決め」「三手決め」の稽古について】
 
 

 「一手決め」「二手決め」「三手決め」の稽古について述べたい。なお、この「〜決め」というのは、拓心武術の戦闘理論における概念用語であるが、「攻撃」と置き換えても良いし、また「対応(応答)」と置き換えても良い、と述べておく。
 まず初めに、拓心武術の組手修練においては、初心者に対して、「二手決め」の稽古を手始めに「三手決め」の稽古を同時に行う。なぜなら、拓心武術の組手修練による効用を、なるべく早くに得るためだ。この稽古法は、あらかじめ「相手と自分(受けと取り)」の攻撃技や防御技を決めておき(約束)、互いに技を遣り取り(交流)させる稽古である。要点は、あらかじめ技を限定するということ。そして形の模倣と原理原則の理解を旨とする組手型の稽古より、動きを早め、流れの中で、呼吸や気を合わせることを旨とする稽古であるということだ。
 補足すれば、組手型も含めた約束組手稽古の眼目を一言で述べれば、「相手(他者)との対峙の仕方を知る」ということである。言い換えれば、「一手決め」「二手決め」「三手決め」というのは、「どのように相手と向き合い(認識)、かつ技を使うか(応答)」の訓練でもある。ゆえに、その訓練においては、他者(相手)との対峙を自己との対峙に繋げて考えなければならない。否、相手(他者)との対峙は自己との対峙と表裏一体なのである。まず以て、そのことを理解した上で「一手決め」「二手決め」「三手決め」について述べてみたい。

【「二手決め」とは】


 さて、「二手決め」とは、また、その核心は、「相手の技を認識した上で自分の技をどのように活かすか」だと言っても良い。そして、「二手決め」の約束組手・稽古法の意義は「相手の技(攻撃技)を認識した上で自分の技(攻撃技)を活かす方法を学ぶこと」である。ただし、拓心武術の組手修練では、相手の技に対し、その技を弱体化、無力化しつつ、自分の技(反撃)の効力を最大化するために防御技を使う。この防御技を相手の攻撃を単に防ぐだけの防御技とは異なることを理解していれば上級者である。
 つまり、ここでいう拓心武術における防御技というのは、自己の技(反撃技)の効力を最大化するための態勢作りを目的とする技なのだ。換言すれば、反撃のための技と一体化した技術でもある。
 
 ここまでが理解・了解できなければ、稽古の眼目である「自他との対峙の仕方を知る」ということの門をくぐることもできていないだろう。だが、その門をくぐることができなければ、自己を活かすことはできないと言っても良い。つまり、相手(他者)を明確に認識することが自己認識の基盤となり、かつ、その基盤によって自己を脅かし、破壊的に働きかけてくる相手(他者)との戦いにおいて、自己を活かす術が体得されるのである。
 

【正確に対応する】


 これまで少し難しく述べてきたかもしれない。だが、私は初心者へはこう伝えたい。まずは「組手は難しく考えなくても良い」ということ。そして、相手の攻撃を予測し、それに正確に対応することが基本だ、ということを。ただし、正確に対応することが重要である。
 
 ここでいう「正確に対応する」とは、戦いにおける絶対的な技術、正解の実践ではない。「技術を実行する心身の回路を作り上げるための稽古」の「物差し」のことだ。換言すれば、さまざまな局面において間髪を入れずに対応技術がイメージできたか、また、そのイメージを正確に具現化できたかという意識を持つことでもある。
 その意識、物差しがない稽古はただの反射神経のみの訓練、またに意味のない優越感の獲得のための稽古に堕してしまうに違いない。現代武道が実施している仕合稽古は全てそのようなレベルである。断っておくが、ここでいう心身の回路には心身の反射作用のようなものを応用(活用)している。だが、武術における心身の回路は、決して無秩序な反射ではなくて、それを活用して、新たな秩序を作るような、また新たな秩序を生み出すような技能、そして技術なのである。
 次に「三手決め」の稽古とは、相手の反応を積極的に誘い出して、その反応に対し技(攻撃技)を施す(仕掛ける)稽古である。その稽古の目的も「二手決め」の稽古同様、「相手の技(攻撃技)を認識した上で自分の技(攻撃技)を活かす方法を学ぶこと」の延長線上にある。
 

【「一手決め」とは何か〜究極の一手決め・心撃】

 少し脱線するが、「一手決め」「二手決め」「三手決め」の稽古を行う際の順番は、「一手決め」が1番最後である。なぜなら、その本質の理解が一番、困難だからである。初心者に理解しやすいのは、「二手決め」である。「一手決め」の稽古は「二手決め」「三手決め」の稽古を十分に行った上で、「相手の技(攻撃技)を認識した上で自分の技(攻撃技)を活かす方法」の基本を体得した者しか、その本質には辿り着けない。
 では、拓心武術における「一手決め」とは何か。わかり易く言えば、相手の技に出方に左右されず、一撃で相手を仕留める(制圧する)ことである。そのような手を実現するには、相手に自己の攻撃の「起り」を感知されずに技を施す(仕掛ける)ことが重要である。また、相手が受けようがかわそうが意に介さず、全身全霊をこめて一手(一撃)を繰り出すことと思われるかもしれない。だが、その一手はまだ浅い。

 拓心武術が追求する「究極の一手決め(心撃)」は、技術的なことよりも、相手(他者)の意図がどうあっても、自己の技が道理に叶うように技を施すことである。換言すれば、自己の技を以て新たな秩序(関係性)を構築することである。ここでいう新たな秩序とは、相手を制圧とは異なり、自他を活かす境地だ。今、このことを説明することは困難だが、究極の一手決め・心撃は、拓心武術の思想だ、と心に留めておいて欲しい。 

【「三手決め」と「一手決め」の稽古に辿り着くまでに】

 

 話を戻し、繰り返せば、拓心武術・究極の「一手決め」に辿り着くまでに、まずは「二手決め」「三手決め」の稽古をある程度、体得した方が良いと考えている。なぜなら、「三手決め」の稽古を早い段階で行うことが、初心者に拓心武術の組手修練法を伝えるには効果的だと思うからだ。まずは組手法に慣れ親しんでもらう。その上で「一手決め」の理論を伝える。そうでなければ、その奥深さが伝わらないだろう。補足すれば、「二手決め」の稽古に習熟すると、さまざまな相手の一手(攻撃技・仕掛け)に対し、正確な対応をすることが如何に難しいことかが分かってくる。なぜなら、相手からの多様な攻撃を全て予測し対応することは困難だからだ。
 また、二手決めに囚われることは良くない。なぜなら、相手からの攻撃を制御・制圧するという組手の目的においては、相手の攻撃を予測し待つという意識のみでは、目的から逸脱してしまう恐れがあるからだ。そこで相手を制するという目的を達成するために、「三手決め」という戦術を用いる。それが相手に囮技を仕掛け、相手の手の内(相手の戦い方)を引き出しつつ、相手の技(対応・出方)を予測して対応する方法(戦術)である。むしろ、そのような戦い方の方が「二手決め」より、初心者には攻防が容易くなるだろう。また、相手を囮技に対応させることで、相手の反撃方法の選択肢が大幅に減ずる。そのことにより、相手の攻撃技(反撃技)の予測がし易くなる。繰り返すが、そのような戦術(戦法)が「三手決め」である。ここで「三手決め」を異なる視点から述べたい。例えば、相手の考えていることや戦い方がわからない場合、その予測は困難だろう。だが、何らかの技(行為)を囮に使い、その技に対する相手の出方(対応)によって、相手の闘い方、意図を知った上であれば、その予測と対応が若干容易くなることがわかる。

 まとめれば、「二手決め」で相手の攻撃の仕方と自己の対応の技術を得ること。すなわち「二手決め」による防御技と攻撃技の使い方の基本を身につけること。その上で「三手決め」の稽古を行い、基本をより積極的に使う経験を積む。そのような稽古法なら、短時間で攻防の技能を見につけるための基盤、すなわち心身の回路が出来上がる。ただし、繰り返すが、それらの稽古は全て「より正確に」ということを指標にして行う必要がある。その指標があるからこそ、先述した「技術を実行する心身の回路」が出来上がる。

【たとえ武術の修練であっても、人間を活かす道理に達する】 


 最後に、我が門下生に伝えたい。拓心武術の組手修練法をより効果的なものにするためには、徒手格闘技としての攻防の技術を学ぶというより、戦いのための心身の回路の存在を理解することを了解しなければ、その構築・創造はできない。また武術修練であっても究極は、「自然と人間と物(道具・手段)の間にある関係性とその関係性により構築された構造の中においてある」ということを理解してほしい。もしそれができ、そのことにより真剣に向き合えば、たとえ武術の修練であっても、人間を活かす道理に達する、と私は考えてる。だが、そのことを究めようと思えば、永遠に修練・稽古を続けなければならなくなる。なぜなら、修錬・稽古を通じ、自己を活かすには、絶えず原理原則、そして原点を見据える覚悟・意識が必要であると同時に、絶えず自己認識の更新が必要になるからだ。 
 さらに述べれば、どんなに伝統的な事柄でも、時間が経てば変質している、と私は考えている。しかし同時に変わらないものもあるかもしれないとも思っている。それゆえ、変化するものと同時に変化しないものを探究し、古(いにしえ)と現在を結ぶために、原理原則の探究が必要欠くべからざる修練だと考えている。だが、古来のものを正確に保存するという行為も重要だが、形だけを追い求めれば、返って原理原則の体得からは遠ざかるだろう。
 本来、形の保存と原理原則の体得とは、本来同じでなければならないと思う。しかしながら、多くの形の保存は原理原則から逸脱していると直観する。私は、原理原則とは弛まぬ変化の過程において、自己を活かし続ける技能とともにあると思っている。本質的に技能とは、それを有する個体、一代限りのものである。それゆえ、それを継承者を育成するシステムとして型(形)稽古がある。だが、その継承者が技術の片鱗を継承するのみで、技能を継承していないところに武道界の問題点がある。その責任は、大衆という視点が技能を判断できないからであろう。また、これまで命のやり取りを本旨とする武術・武道においては、技能を正確に判断する手立て(データベースとそれを分析する能力)がなかったからだろう。
 私は、命のやり取りを想定・意識する日本武道の伝統とは何か、を探求することは重要だと考えている。だが、まず以て武術の本質を意識しつつ「相手の技(攻撃技)をより正確に認識できるならば、必ず自分の技(攻撃技)を活かす道がある」ということをより多くの人に伝えたい。なぜなら、日本武道の系譜をより良く継承し、かつ活かす道を追求したいからだ。また、それは拓心武術の存在意義であり、思想(拓心道)でもある。

 

昇段認定証書・認定式の報告

上村氏、朴氏、おめでとうございます。今後、極真会館増田道場の黒帯の一員として、更なる精進に励んでください。

2021年紅白試合の報告

紅白試合の動画をデジタル空手武道教本のサイトにアップしました。閲覧ください。

 

紅白試合の動画〜第3部

 

 

今月の映像教本

  • 教本の更新の際は、黒帯及び黒帯指導員は動画確認をしてください。そして稽古指導に役立ててください。
  • 極真会館増田道場は、より良い空手武道とその修練を伝えるために研究を行い、修練体系を更新をしていきます。特に拓心武術の修練は極真会館増田道場の真髄です。時間が空いた時に、動画だけでも確認しておいてください。

肘受けについて〜ワンポイントレッスン

約束稽古の仕方〜ワンポイントレッスン動画(指導員、黒帯必見)

 

12月のイベント予定

重要なお知らせ

  • 2021年紅白試合に参加した皆様へ〜参加者全員に1000円〜3000円分のTSクーポンが授与されています。活用してください(有効期限は1年日間)。また、TSショップに商品カタログのページがアップされています。その中からも商品を選べます。→TSショップ
  • デジタル空手武道教本は、不定期にコンテンツを修正、補充(アップロード)していきます。道場稽古の予習、復習に活用してください。
  • IBMA空手武道チャンネルには「自宅でできる空手武道レッスン」を掲載しています。参考にしてください。
  • IBMA極真会館の重要なお知らせは、メールでお知らせしています。会員道場生はメール登録をお願いします。
  • デジタル空手武道教本はIBMA極真会館の会員道場生向けの教本です。閲覧にはPWが必要です。一斉メールでお知らせしていますので、必ずメモしておいてください。もし、忘れた場合は、事務局までお問い合わせください
  • 極真会館増田道場生の皆さんへ〜年会費(半期分)を納入された方には1000円分のTSクーポンが発行されています。TSショップでの修練用具の購入にお使いください(TSクーポンの有効期限は発行日から1年間です︎/新規入会者は除く)→TSショップはこちら
  • セキュリティー管理のため、デジタル空手武道教本の閲覧のためのPWは定期的に変更されます。連絡用メールアドレスを本部事務局までお知らください。登録のない方には道場からの連絡が届きません。

 

 

 

 

第55号 編集後記

 毎月1回の顔面突きありのTS方式の試合を開始して1年目を終えた。今回はチーム対抗の紅白試合を予定していたが個人戦のみの紅白試合となった。参加選手が少なかったからだ。

 今年も1年間、コロナ対策に気が抜けなかった。慣れたが大変な1年だったと思う。最近、ようやくコロナの感染拡大がようやく収まりつつあるが、まだ気は抜けない。

 一体、コロナ前の生活に戻るのはいつになるのだろうか。そんな中でも、紅白試合に参加した人たちにはありがたい気持ちでいっぱいである。同時に、たとえ参加人数が少なくとも試合の機会を提供し続けることは大事だと思っている。なぜなら、新しく始めた組手法と、今後もさらに道場方針とその内容を明確にしていかなければならない、と考えているからだ。コロナパンデミックの終焉をただ待っているわけにはいかない。粛々とやれることをやっていく。そしてわずかでも前進していきたい。

 さて、今回は初参加の人の姿が多く見られた。まだ技術的には未熟だが、TS方式の眼目である、「相手との対峙の仕方を知る」という点に関しては自覚があるように見えた。そして多くの人が力任せにならず、相手をしっかりと見据えて戦っていた。相手としっかりと対峙する。また見据えるということは、すなわち自分自身と対峙し、かつ見据えるということに繋がる。

 私の目に印象的だったのは、まだ身体の小さい少年部の生徒が、自分よりも身体の大きい相手に対し、体力的には劣勢に見えたが、最後まで試合を投げずに相手と引き分けた姿である。

 また、一般部の青帯の生徒が、「気持ちは舞い上がらなかったが、吐きそうなぐらい緊張した」と試合後、述べていたのを聞いた。その生徒は先輩を相手に健闘し勝利した。彼が試合の内容を覚えていないと言ったことが気になったが、それは集中していた証拠であろう。また、勝利した要因は、相手より優れていたということではなく、防御技と攻撃技を相手より活かしていたことだと思う。要するに攻防をしっかりと行なっていたということである。さらに体力もありそうなので、修練を積めば、さらに上手く、かつ強くなるに違いない。とても楽しみである。

 その他にも数ヶ月前の月例試合では、見られなかった上達が見られた者がいた。数ヶ月前は、防御技と攻撃技の活用が全くといっていいほどできていなかったが、今回は戦い方に改善が見られた。おそらく、防御技と攻撃技の活用、使い方の基本の使い方が少し理解できたのであろう。そして防御技と攻撃技の活用と同時に、足使い(フットワーク)が良くなった。間合いの調節には足使いが重要である。今後、さらに防御技と攻撃技の活用法を組手型で学び、組手稽古と試合経験を積めば、もっと上手く強くなるだろう。

 最後に、TS方式は「相手との対峙の仕方を知る」ということが理解できれば、誰もが上手く、かつ強くなる。ただし「相手との対峙の仕方を知る」ということの内容を体得できなければ、知ったことにはならない。言い換えれば、ここでいう知るとは、相手の攻撃を予測し、かつ、相手の攻撃に正確に対応することができるようになることだ。また、もし強さというものがあるとしたら、その本質は「対応力(活かす力)」と「心眼が開いているか(心の目で見ているか)」だ、と私は考えている。

 繰り返すが、拓心武術の組手修練においては「正確に対応する」という技能の体得を目指してほしい。そのためにも組手稽古に際し、「前もって理論的に定義された技術を実行する心身的な回路が生み出したものかどうか」の「物差し」を持つことが必要である。また、心身の回路を作るために必要な拓心武術の基本技(基本組手技)をしっかりと体得することが肝要である。

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