空手家が観た都知事戦 その1

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空手家が観た都知事選  その1

 2016年07月30日
 テーマ:社会、政治について

 

 有権者の選択、特に無党派層の選択に注目している。
投票日2日前となっても、増田、小池、鳥越の3氏の内、誰に投票するかに逡巡している有権者が多くいるようだ。

 選挙の情勢は、私が告知前に予想した通りになった。まず増田氏だが、増田氏の支持基盤である自民党が序盤に打った一手が悪過ぎた。次に鳥越氏だが、女性支持者を失うようなスキャンダルがでて、少なからずダメージを受けたに違いない。しかし、増田氏程ではないだろう。最後に小池氏だが、都議会解散の突っ込みどころを、さらりとかわした。間髪を入れずに、既得権益者との対立と都政の改革者のイメージを印象づけ、さらに「知事報酬を半分」「任期を3年半」と心憎い程の小技の冴えをみせてきた。また、石原前都知事の「大年増の厚化粧」発言に対しても見事な「応じ」をみせ、「自民党崩し」のだめ押しの一手のように影響している。

 小池氏は、私の武道理論で言うところの「応じ」を心得ている。「応じ」とは、「自己に不利な状況を有利な状況に転化する、という転じの理合をベースに、相手の攻撃を防御、間髪を入れず反撃を加える」ことだ。というより、自民党の攻撃が稚拙過ぎると云った方が良いだろう。

 ここまで書いてきて、私が小池氏の圧勝になると言いたいのだと感じるかもしれないが、そうではない。普通に考えれば、「勝負あった」であろう。しかし、ほんの僅かながら他候補が勝つ可能性もあると思っている。

 例えば、スキャンダル攻撃を受けた鳥越氏は、終盤になりふり構わず、与党を攻める姿勢をみせている。その攻撃姿勢は「それしかない」というものだ。やっと気がついたかというような攻撃方法だが。その意味を解説すると、鳥越氏は序盤戦、あまりにも戦い方が稚拙だった。想像だが、野党も頭を抱えていたと思う。それは、増田氏や小池氏が、歴戦の勇士で技術を持っているのに対し、鳥越氏は技術無しのような感じだった。しかし終盤にきて、増田、小池両氏の基盤である自民党に対決する姿勢を打ち出してきた。極真空手の試合で言えば、技術がないから最後は間合いを詰め、手数で審判に優勢をアピールしようと言う戦術だ。そのような戦術は、審判に見る目がなければ有効だ。ゆえに鳥越氏が僅差で勝利すると云う可能性もないとは言えない。しかし、今回の審判である有権者にとっての優先順位は、反自民ではないだろう。おそらく、そこまで都民は馬鹿ではないと信じたい。それでも鳥越氏が勝つ可能性は、自民支持層が分裂し、反自民が結束したときにある。

 私は自民党支持、かつ都政の安定と進化を希望するので、調整能力と実務に長けた、情熱のある人を望んでいる。さらに言えば、過去に改革を唱えて、それを成し遂げた人はいるかどうかを考えている。勿論、小さな変革はあったかもしれないが、構造的かつ大きな改革を成し遂げた政治家はいないのではないか。また、そのような事を言う人を安易に信じてはならないように思っている。勿論、改革は必要であるし、また変革を志す事も必要だと思う。しかし、真の改革・変革は、長い時間をかけて成される事だと、私は考えている。また、有権者がその事(改革)に対して、その是非を十分に考える時間が必要だ。

 ただ、選挙運動の期間が短すぎるので、考え選択する時間と材料が足りない。その事が、冒頭の、「誰に投票するかに逡巡している有権者が多くいる」という状況を生んでいる。勿論、それは有権者の政治への関心が高まった事の結果であり、民主主義の観点からは、進歩である。

 最後になるが、私が今願っているのは、政治の混乱の抑止である。具体的には、今回の都知事選が与党のごたごたに発展しなければ良いという事である。勿論、建設的な侃々諤々は、与党内であっても、与党と野党とであっても必要だ。また、品格を保ち、真に都民の利益を考えた上で、丁々発止とやり合うことは、時に政治に必要かもしれない。しかし、決してそうではない、不毛な感情論に発展するようなことは、我々市民が迷惑する。

 また私は、政治家には能力と情熱のある人を望むと先述したが、ここでいう能力とは「感性」の事である。政治家に必要なのは、実務能力もさることながら、「感性」と「情熱」であると私は思っている(経験は感性を磨き、情熱を湧出させるものだと考える)。

 増田氏は同姓で、誠実な感じがするので期待したが、世論的には劣勢だ。その増田氏も、最後に都政に対する情熱と市民に対する感性を感じさせる事ができれば、逆転もあり得る。なぜなら、自民党支持者と公明党支持者の確実な支持を得られるだろうからだ。ただ、ここでいう市民に対する感性を感じさせるとは、難しい事かもしれない。本当に心の底から思う事でなければならないからだ。

 平たく言えば、既得権益者、為政者の意見を聞くと云う感じではなく、名もない市民の声を聞くと云う姿勢である。また真の弱者への洞察力である。これは、与党から推薦されている増田氏の事を言っているのではない。私が観るところ、その感性は、増田、小池、鳥越、3氏すべてに足りないところかもしれないと、危惧しているのだ。

 危惧が私の杞憂、妄想で終わるかどうか、それは選挙後にわかる。とにかく私は、3氏の中の一人に投票する。

 蛇足ながら、リーダー、政治家には「感性」と「情熱」が一番重要だと繰り返したい。良い人がリーダーになりますように‥。

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