【TSアドバンス方式の組手法の習得について】

 先に今後のイベントの予定をお知らせしましたが、10月の昇段組手講習会は、現茶帯1級の方々の昇段認定に必須のTSアドバンス方式の組手法の講習を行います。また、そのあとに主催される昇段組手試合への参加ならびに勝利が昇段認定に必須です。また、現黒帯指導員は速やかにTSアドバンス方式の組手法を習得してください。すでに少年部から壮年部までが面防具を使用したTSアドバンス方式の組手稽古を行っています。当然のことながら、TSアドバンス方式の組手稽古における、顔面突きの技術と技能の習得は一朝一夕ではなりません。

【体験、そして技術と理論を学ぶことが絶対に必要】

 今、再び増田の考えをお伝えします。今回は、TSアドバンス方式の組手法(ヒッティング)の習得をスキー滑走に例えてみます。スキー滑走技術の習得は、実際にスキーを履いて、雪山の斜面を滑り降りる経験がなければ、ほぼ絶対に身につきません。もし、スキーにより雪山の雪面を滑走しようと思えば、体験(スキー滑走)、そして、スキー滑走に必要な技術と理論(スキー滑走法)を学ぶことが絶対に必要です。ここでいう理論とは、技術理論のみならず、技術の運用理論のことです。言い換えれば、技能の認識が必要です。

 少し話を脱線して私の研究テーマの一つ、「技能論」について少し話をすれば、スキー滑走には、技術のみならず、より善く、かつ自由自在にスキーか滑走を行おうと思えば、技能(技術を実効化する可能性であり、感覚、感性を核にするもの)が必要なのです。むしろ技能の方が本質かもしれません。ところが、極真空手の組手法には技能に関する意識が希薄です。それは組手を観る眼(認識力)に問題があるからです。スキー滑走にも組手稽古も技術のみならず技能の開発が目的でなければならないのです。ここで簡単に技術と技能の違いを述べれば、技術は訓練しないと精度が落ちます(ただし高い技術を基盤にした技能は、技術が劣化した場合再現できないこともあります)。一方の技能は一度身につくと、なかなか忘れません。ただし、高いレベルの技能を発揮するには、同時に高いレベル、精度の技術が必要です。

【できるようになるということの本質は技能の体得】

 話を戻して、スキーの滑走技術の習得の場合、まずは緩やかな斜面でスキー滑走の訓練をした方が良いでしょう。そして、基礎から一歩一歩、正確に訓練を行い、スキー滑走の訓練を行うのです。そして段階的に滑る環境を変えて生きます。つまり急な斜面における滑走を体験して行くのです。そのようなプロセスを踏むことで、初めは出来ないと思ったことができるようになるのです。

 要するに、スキー愛好者が、長い間の訓練により、自由自在にスキー滑走ができるように、空手人も長い間の正しい訓練によって、常人のできないことができるようになるのです。

 本論を読む方の中にはスキー滑走の経験がない方もいると思うので、私のたとえ話が理解できない人もいるかもしれません。私の言いたいことは、TSアドバンス方式、すなわち「顔面突き×蹴り技の自由攻防」の訓練である組手法の習得と上達もスキー滑走方の習得と上達と同じだということです。つまり、理論を踏まえた、基礎練習を正しく行い、段階を踏んで訓練を続ければ、誰もが必ずできるようになるのがTSアドバンス方式の組手法なのです。換言すれば、できるようになるということの本質は技能の体得なのです。そして、その技能体得の道筋を明確にするものが拓心武道メソッドなのです。

 あえて言えば、体験を皆さんが避ければ、一生涯、その技術、技能は身につきません。私は、空手家として、顔面(頭部)への手技(突きのみならず、裏拳、手刀、肘打ちなど)の攻防が絶対に必要だと考えています。

 そのような稽古を極真会館は、これまで封印してきました。その理由は追求しませんが、その時代においては、封印することが最善だったのでしょう。しかしながら、その姿は本来の極真空手の姿ではありません。また武道の姿ではありません。私は極真空手の原点に立ち戻り、武道空手としての再編を試みています。

 私は他の極真空手の仲間の間でも、いずれ極真空手の原点に立ち戻ろうという機運が芽生えると考えています。ただ、長い年月が必要となるかもしれません。また、それまで私が生きているかどうかはわかりません。

 私は、今、それを行います。なぜなら、極真空手は断崖絶壁の行き止まりにきていると考えるからです。私は、これまでも極真空手の改革を試みてきました。その改革は進行形です。ただし、そのアプローチ、修練法を若干変えます。それを一言で言えば、「原点回帰」なのです。

 私は1日も早く、極真会館増田道場の黒帯に、その考え、武道哲学を理解してもらいたいと考えています。是非とも、講習会にご参集ください。直言すると、みなさんの習得している空手技術と技能、そして武道哲学は貧弱すぎます。私は極真増田の門下生に、もっと空手の可能性を理解してもらいたいのです。そして共に可能性を開拓して行きたいのです。

 案内が遅れているので、取り急ぎ増田からのメッセージを出しました。講習会の詳細については、もうしばらくお待ちください。事務局からお知らせします。

 増田 章

 

10月18日(日) 昇段組手講習会(武道館、午後)
10月25日(日) 昇級審査会(多摩本部、午後)
11月 1日(日) 昇段組手試合(多摩本部、午後)
11月29日(日) 交流試合組手の部(武道館、全日)