TS方式の組手法について〜上級、有段者稽古を終えて


 2月11日(月)、連休の最終日、今年2回目の上級、有段者稽古を行った。

 前回よりも参加者が少なめだったが、今回の稽古はIBMA極真会館の門下生にとっては重要な稽古だった。現在、私は修練体系のバージョンアップの準備をしている。このバージョンアップをしなければ、私の門下生の空手は、武道とは程遠いレベルで終わるだろう。私のいうバージョンアップとは、パソコンで言えば、OSの積み替えぐらいに意味がある。そのOSの骨格は、組手型を中心とする型稽古と新しい組手法である。また、それに伴い基本稽古に若干の追加をしなければならない。しかし、長年使って来たOSの変更は大変な作業となるに違いない。ゆえに私は、インターネットを活用し、どこにいても私の指導を受けられるようにデジタル教本のサイトを準備している。

 今回は、新しい組手法の稽古だった。2時間30分ほどの稽古では、不十分ではある。だが、願わくは、参加者が何らかの気付きを得られることである。私の経験的な推定だが、私の組手指導を120時間(1日2時間で2ヶ月間)ほど、受ければ、一般的な運動能力がある人なら、どんな人でも組手が上手くなるだろう。ただし、私の理論を理解する気持ちはもちろんのこと、空手が澄んだ「気」と「頭脳」を使うことが必要だいうことが腹に落ちる人ならば、だが。

 さて、私は新しい組手法をTS方式と名付けた。TS方式を普及するための12項目は以下のようになる。まだ、メモ程度の12項目である。今回の稽古では、全ての項目を実施できてはいない。今後、講習会の企画などを通じ、速やかに12項目を実施したい。同時に改善点があれば、迅速な改善を行いたい。

 実は、TS方式の試合ならびに組手は、昨年からスタートした。しかしながら、改善点が見つかり、その部分を改善した。私は、良いものを作るには、絶えず改善することが必要だと考えている。日本人は、あまり多くの変更を行うことを好まないように思える。だが、私はなるべく早く変更を行う方が良いと思っている。なぜなら、変更を行う中で、中心軸が鮮明になってくると考えるからだ。

 現在、新しい組手方式を実施してから早くも9ヶ月ほど経ったが、試合方式の浸透と普及は遅い。だが、私は、このTS方式を基盤にすれば、フリースタイル空手プロジェクトで構想した試合形式に代わる、より良い試合方式を考案できると考えている。その案には、頭部打撃も視野に入れている。

 私にもう少し資金と時間があれば、スピードアップできる。だが、今は命懸けで研究を続けるしかない、と思っている。急がなければ、私の体の中から、高い空手技術の感覚がなくなってしまう。そうなる前に早く組手型を創出したい。また組手の稽古を通じ、門下生に組手の真髄を伝えたい。とにかく新しい組手法のプロトコルの移植の仕事を急ぎたい(もう限界に近づいている)。もし、その移植ができれば、必ず新しい感覚が、生命のように生まれてくるはずである。さらに言えば、私が創設する組手型の修練は、極真空手を武道のみならず武術として本物となすだろう。また、修練は厳しさも伴うが、真の楽しさと自信を修練者に与えるようになるに違いない。

【私の夢と目的】

 補足を加えれば、私は、フリースタイル空手プロジェクトを6年前に始めた。しかしながら、資金不足と私自身の身体の問題を含めた、人的問題で休止せざるを得なかった。しかし、私は研究を続け、新しい組手法を考案中である。

 誤解を恐れずに言えば、TS方式の組手法の確立は、フリースタイルカラテプロジェクトの第2期と言っても良いものだ。だが、現在の私には体力が不十分である。何より、ハードトレーニングができない。また、空手の稽古後には、十分な休養を取らなければ、下半身が痛くて動けなくなる。人には気付かないかもしれない。ゆえに、辛抱強く、やれることを積みあげて行くしかない。それは、大変な作業である。だが、それは辞世の準備でもある。そして希望に満ちている。なぜなら、私と一緒にTS方式の組手を稽古する道場生が組手に上達し、楽しく組手稽古ができている。また、この組手法を基盤とすれば、長年研究した様々な武術の技を生かしていける。「より良いものと人を後世に残す」、そんな思いが私の心の中で信念となっているようだ。

 20代前半の頃、「あどけなさが残る選手」と言われた私も、老年の域に差し掛かった。偉大な先輩の中には、鬼籍に入った方々もいる。私は極真空手と関わり、試練の連続だった。しかしながら、その試練のおかげで様々な本を読む機縁をいただいた。様々な人の話を聞き、様々な手が無限にあるとの考えが湧いた。大げさに聞こえるかもしれないが、空手に関するアイディアにおいては、誰にも負けないと思っている。だが、私の夢とその真の目的は、空手を通じて、道を極めることだ。それは、仲間(武道人)を本当に成長させる空手を作ること。そして、他のジャンルの人材に勝るとも劣らない見識と技術、哲学を兼ね備えた、武道人を育成することだ。更に老若男女、強いも弱いも一緒に、また、上手いも下手も一緒に仲良く武道修練を続けられるような空手武道団体を作りたい。

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